昭和史を読むつらさ。 ー 昭和史 1926-1945
昭和時代のイメージ
自分は平成生まれです。
昭和とは両親または祖父母の生きた時代であり、自分からして具体的なイメージはありません。
昭和という時代は、学校でも詳しく学ぶことがなく(3学期に少し触れる程度)で、結局のところ自分で本を読むか身の回りで見聞きした情報が全てといったところ。
ましてや、その一貫した流れなど知る由もなく、断片的に戦争の存在と復興の歴史を知るのみでした。
しかしながら、平成の前時代として今を理解するためには、決して昭和を無視することは出来ず、昭和なくして現在の日米関係、日中関係、日韓関係は理解できないと思います。
昭和史と「アホな戦争」
そんなわけで、この「昭和史」を手に取りました。
実はこの本には後編があり、この本の中では昭和前期のみを扱っています。
具体的には、昭和開始から終戦の日(ポツダム宣言受諾)までを扱っています。
この本を一言でまとめると、それは「日本はなんとアホな戦争をしたんだ。」ということです。
著者の半藤氏は一貫してこの主張を繰り返します。
驕りと愚かさの日本軍
如何にしてこの馬鹿げた戦争を始めるに至ったか、昭和最初期はその理由に満ち溢れています。
読み進めるのがつらいほどに、日本軍は愚かです。
正直、憤り以外にありません。
もちろん、ソ連に対する不安であったりは、持っていてしかるべきですし、そのために満州に対する日本の注力は当然と言えるかもしれません。
しかしながら、ところどころに見られる国、または軍によるずさんな決定の数々は見るに絶えません。
日本がこのような軍人個人の意思決定により戦争に転落していくのは、もどかしいと言いますか結果として第2次世界大戦が控えているのは知っていながらも、それらの事実を読み進めるのはなかなかにつらいです。
太平洋戦争
もちろん史実の通り、結果として日本は戦争に至ってしまいます。
戦争中の各戦闘に対してはそれほど詳しく描いておらず、結果のみ端的に書いてあり割合あっさりした印象です。
俯瞰的に、戦争の推移を見るという点で言えばわかりやすかったです。
(戦争の転換点や特に大きな戦闘などは、詳しく経緯も交えて書かれています。)
そして、最終的にポツダム宣言の受諾になるのですが、それでも天皇を守ろうとする日本の上層部の姿は肯定的にとらえるべきなのでしょうか、それとも…
戦争に思うもの
昭和史として、昭和前半をとらえたとき、やはり自分もまた戦争に対して否定的に思わざるを得ません。
アメリカを始め諸外国からの圧力があり、戦争は日本だけの責任ではなくやむを得ないことであったという意見もわかります。(この本自体左寄りという気もしますし。)
それでも戦争なんて起こすべきではなかったと思います。
今この時代からみて史実を振り返ってみれば、著者の「アホな戦争」と言う意味が分かります。
しかしその一方で、この戦争での戦死者の方々の上に今の日本があるわけですから、無意味であったと断じることもまたできないと思います。
そこのところが歴史の難しさでしょうか。
どちらか一方の立場を取る必要もないのかも知れないですが、やはり自分の中に残るものがあります。
思いのほかつらかった昭和史
変な義務感から歴史を学ぶべく、この本を手に取りましたが、これほど考えさせられることになろうとは。
今現在、平成の一個前の時代、昭和史を振り返ることが、こんなにもつらいものだとは思っても見ませんでした。
後編でもう少し明るい時代に触れようと思います。